【本当は・・・】

3月 23, 2011 at 11:03 pm (Gundam 00)

三月下旬。
ここ数年この時期必ずと言って良いほど隣に眠っている人は自分より早起きをしだす。
朝はけして強いほうではないのに、不思議とある日を境になぜか自分より早くは起きては妙にそわそわしながら二人で使っている部屋の中を片付けたりしてる。

理由は迫ってくる自分の誕生日。

両親が健在だった子供のころは楽しみにしていたけど、二人を自分の手で殺めてからは誕生日祝いとは無縁になった。仲間ができてからは自分にも誕生日があるとは思い出したが幼かったころ感じた独特な喜びは感じられない。

ゆっくりと音を立てないようにクローゼットの中をかき回してる音がする。昨日はバスルーム、今日はクローゼットらしい。彼女は自分が毎朝寝たふりを続けていることは気づいてない。彼女の背がベッドを向いているだろうと脳裏で確認してからすばやく自分の体の向きを反転させベッドから部屋が見渡す。

今年のプレゼントは服になるのかもしれない。

「青か紺かな?」など独り言を言っているフェルトがちょうどクローゼットの中へ取り出していた模様のシャツを治すため手を伸ばしている。

「んー。」とかすかに悩ましげな音を立ててはさらに上にあるシューボックスへ彼女の手が伸びる。彼女の寝巻きにしてたシャツの裾の場所が上がり、覗いていた長い足のさらに上のぷっくんとした尻のラインの上でゆれる。昨夜の行為を済ませた後に疲れて眠ってしまった彼女に着せた自分のシャツだ。体に当たる布の感覚からすれば下着も履かないままだ。

ドクンっと性欲的にではなく、不思議に胸奥の辺りがそそられる。

彼女に誕生日を祝って欲しいなど一度も思ったことはないのだ。必要なものは何でも手に入る環境だから、欲しいものなどほとんどない。特別なものは何もいらない。

ベッドの中から自分が起きていると気づかないで作業を続ける恋人の姿を眺める。

「フェルト・グレイス」

柔らかく彼女の名前を呼ぶとピクリと彼女の背中が動く

「お・・・おはよう刹那!あ、ごめんクローゼットの中に昨日ピ・ピアス落としちゃってそ・・それで思い出したら寝てられなくって探しちゃった。ごめん起こした?」

首筋まで真っ赤にして必死に自分の行動が怪しくないように言い訳する彼女に寝そべってるベッドから手をさし伸ばす。

それを合図に彼女が近づき自分の左手に右手を重ねる。

本当は誕生日なんてどうでもよくって、プレゼントなんて物はいらないと言ってしまえば毎年この時期彼女は悩まないで済む。

重ねあった手を見つめているだけでいるとフェルトが不安げに声をかけてくる

「うるさくしてごめんなさい。」

ぎゅっと彼女の手を握り自分の瞳を閉じる。

彼女には絶対言わない。プレゼントはいらないなど。誕生日はどうでも良いなど。

朝、彼女が必死に自分のために何かしている姿が好きだからだ。日ごろはいつでも時間が許す限りベッドの中に包まっている人が、普段の服装や物にも執着見せない人が誕生日と言う日の数週間前だけ朝から晩までずっと自分の事を考えてくれている。自分に何かを与えようとしてくれる。自分を必死に喜ばせようとしてくれる。

「刹那?大丈夫?」

ぎゅっと彼女が手を握り返してくる。

目を開けて彼女を見上げる、そして首を傾げてる彼女の手の甲に唇を触れる。

この温もりが
この思ってくれる思いが

とても愛しい。

だから今日のようにきっと明日の朝も自分より早く起きるだろうに囁く。

「おはようフェルト。」

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